山口県山口市の信光寺 浄土真宗本願寺派/西本願寺 濟波山

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信光寺住職日記 2009

信光寺住職日記 2009

2009/12/28 今年も僅か。玄関に正月用の花を生ける。

今年も僅か。玄関に正月用の花を生ける。

 今年も残すところ僅かとなり、大掃除、本堂の花生け、除夜会・修正会の準備と慌しい毎日。
今日、庫裡の玄関にお正月用の花を生けて下さったのは、ご門徒の中川範子さん。中川さんは花の造形作家で〝はないちもんめ〟という花屋さんを経営されている。備前焼の大きなつぼに、老松・幸来松・枝垂れ柳・蝋梅・桐などの花材をもって縦横六尺ほどのスケールで見事に生けて下さった。
庫裡の玄関に足を踏み入れると、眼前に広がる静寂な芸術空間。ライトアップされた花が訪れる人の目を惹きつけ、年末の気忙しい心を和ませてくれる。

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2009/12/22 松月博宣先生をご講師に第7回寺子屋セミナーを開催

松月博宣先生をご講師に第7回寺子屋セミナーを開催

 12月22日、松月博宣先生をお招きして、第6回の寺子屋セミナー(無料公開講座)を開催。
年の瀬の慌ただしさと新型インフルエンザの渦中で心配していたが、どうにか60名ほどの出席があった。
松月先生は一週間ほど前にギックリ腰になり、まだ完治していない体調不良の中でのご出講。ご講話のはじめは少し重たい口調であったが、次第にテンションが上がってきて「五濁悪時群生海〜不断煩悩得涅槃」の4句を、言葉を択びぬき研ぎ澄まして、実に深い味わいをもってご講話下さった。
長年、ご本山での会議等を通じてお付き合いしているが、逆境の中でもこのテンションとエネルギーはどこから湧き出るのであろうかと敬服する。
第7回の寺子屋セミナーは2月25日、ご講師は紫藤常昭先生。途中からの受講申し込みも歓迎で、今回も3名が新たに申し込もまれる。セミナーの輪がますます拡がっていくことを希っている。

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2009/11/28 信光寺仏教壮年会初代会長・田中芳男さんの葬儀

信光寺仏教壮年会初代会長・田中芳男さんの葬儀

 信光寺の本部総代で仏教壮年会初代会長・田中芳男さんが、一昨日往生の素懐をとげられ、本日葬儀を勤めた。享年78歳。
田中さんとの最初の出会いは、私が信光寺に入寺した昭和57年春であった。境内を掃除していると、にこやかに私に挨拶され、開口一番、「私共は仕事があるから平日の昼間にはお参りしたくてもできないんですよ。夜の集いをご院家さんにお願いするけど聞き入れてもらえなくて・・・」。この出会いが翌年に結成される仏教壮年会へと発展する。当時はご講師が法話の中で「小郡には男性はいないの?」と揶揄するような信光寺の法座の大改革。その先鋒として私を常に支えて下さったのが田中さんである。
葬儀の追悼のことばでは、第4代仏教壮年会会長の河村博次さんが、「信光寺仏教壮年会は、あなたの存在なくしては語れません。・・・・・・ご法座ではいつもご講師の真前に坐られ、楽しそうにお聴聞される姿はまさしく妙好人であり、何も言われずとも、そのお姿そのものが私共を仏法へ導いて下さいました」と田中さんのご遺徳を讃えられた。
何でも受け入れて下さる心の広い方であった。聞法のよろこびを一人でも多くの人と分かち合いたいと惜しみない努力をしながらも、自分の手柄にはまったく執着しない方であった。田中さん、有難うございました。南無阿弥陀仏。

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2009/11/14 小林顕英先生をお招きして永代経法要を勤修

小林顕英先生をお招きして永代経法要を勤修

 14・15日の2日間、大阪から小林顕英先生をお招きして永代経法要を勤修する。小林先生は少年連盟で以前から存じ上げていたのだが、拙寺の法要には初めてのご縁。1座1座のご法話の時間があっという間に感じられる、有難いご縁を賜った。
初日の昼座には200名を超えるご参詣。恒例の写経(住職が清書したものを薄く印刷し、文字をなぞる形式で、今回は『重誓偈』)をそれぞれに持参され、全員で声高らかに勤行して内陣須弥壇上にお供えする。そしてご法話の休憩中には〝コールさいはミニコンサート〟があり、美しい歌声に聞き入った。
翌日のご満座では写経をお下げして再び勤行。ご法話終了後には信光寺オリジナル供菓〝平成の甍〟を全員に差し上げ、帰宅されたら御内仏にてご報告の勤行をしてくださいとお願いする。
永代経法要で写経のご案内を始めて10年程になる。〝牛に引かれて善光寺参り〟・・・、〝写経に引かれて信光寺参り〟・・・。今年も2日間4座の法要には500名程のご参詣があり、賑々しく勤め終えることができた。

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2009/10/26 内藤昭文司教をお招きして、第5回寺子屋セミナーを開催

内藤昭文司教をお招きして、第5回寺子屋セミナーを開催

 寺子屋セミナー「正信偈を聞く」(第5回)は、本願寺司教の内藤昭文先生にご出講いただいた。内藤和上は大学時代の後輩で、本年4月8日に新門様山口別院ご巡回の随行講師として来山され、30余年ぶりに再会。今回のご縁を賜った。
ご講師のリレー講話で、今回は「如来所以興出世 唯説弥陀本願海」の2句。受講者へ「鏡は左右が反対に映るのに、上下は何故反対に映らないのか」という問いかけから始められる。親鸞聖人が真筆ご草稿(坂東本)で7か所訂正されているうちの2か所がこの2句に含まれている。そのお心を懇切丁寧に深く易しくお話し下さった。まことに有難いご縁であった。
第6回は12月22日(火)、松月博宣先生をお招きする。途中からの受講申し込みも歓迎。セミナーの輪がさらに拡がっていくことを希っている。

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2009/10/12 「月下美人」が咲く

「月下美人」が咲く

 今日は午後1時半より定例法座。法話一席の後、本願寺から届いているDVD『御影堂平成大修復』の中の〝よみがえる荘厳の美〟を上映する。
終了後、夕方プールでひと泳ぎ。夕食の途中、7時頃から食堂のテラスにある鉢植えの「月下美人」が芳香豊かに咲き始める。写真は左が7時頃、中が8時頃、右が9時頃の満開、花びらの直径は20㎝ほどになる。
亡き実母から株分けをもらったのだが、長崎と違って山口の冬は厳しく、成長しつつあるとき管理を怠って弱ってしまう。今年も弱々しい状態だったので、花は諦めていたのだが、逞しく2輪のみ蕾を付け始めたのには驚いた。
華やかさは深夜まで、明朝には花は哀れにしぼんでしまう。花言葉は「はかない美、繊細、快楽、艶やかな美人」。一夜だけの華やかなパフォーマンスからこの名が付けられたのだろう。

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2009/10/07 ボロブドゥール(ジャワ島)を巡る旅から無事帰国

ボロブドゥール(ジャワ島)を巡る旅から無事帰国

 2日からインドネシアへ行ってきた。毎年、仏教遺跡を巡る旅を企画しているが、今回も有志の方々の参加を得て貴重な充実した時間を過ごすことができた。
世界遺産に指定され世界最大級の〝ボロブドゥール〟は、東南アジアに伝播した部派仏教と違い大乗仏教の寺院である。780年頃から建築が始められ増築などで832年に完成。その後1,000年もの間、火山灰に埋もれ密林の中に眠っていたという。
高さ40m、基壇は一辺が120mの方形。回廊には釈尊の生涯とジャータカ(前世物語)が描かれている見事なレリーフがある。5層の方形壇、さらにその上に3層の円形壇があり、全体で9層の階段ピラミッド状の構造である。
夜明け前から建物に上り、朝食後に再び拝観。カンボジアのアンコールワットもそうであったが、巨大建築の高度な技術と美しさに敬嘆するとともに、我々が護持している現在の寺院・内陣建築も、仏を崇敬し仏土を欣求する先人の深い信仰があってこそ完成したものであることを改めて深く感じ入った旅であった。

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2009/09/22 秋季彼岸会を勤め終える

秋季彼岸会を勤め終える

 21・22日、秋季彼岸会を勤修する。布教使は福岡・海徳寺住職の松月博宣師。初めてのシルバーウイークという大型連休の影響を受けてか、平年よりご参詣が少ない。しかし家族・夫婦揃ってのお参りが多く、遠くは宮城県仙台市から車でいらした方などもあった。
勤行後の住職挨拶では、世間では連休で浮足立っている最中にお寺参りに勤しまれたことを讃える。そしてすべてのご縁が整ったからこそお参りできたことをお互いに喜び合いましょうと話した。
松月師のご法話は、深い聖教量から湧きいずる言葉をもって、択びぬき研ぎ澄まし、かつ温もり溢れるものであり、有難いご縁を賜った。

方一尺の天地 水馬(みずすまし)しきりに円を描ける
汝いずこより来りて いずこに旅せんとするか
ヘイ、忙しゅうおましてな   (村上志染)

慌ただしく駆け巡る中に一寸立ち止まって、真西に沈みゆく夕日を拝みながらお念仏申し、このいのちの行方、西方浄土へのひとすじの道を歩み続けよう。

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2009/09/19 明日よりお彼岸、玄関の花も秋模様

 明日よりお彼岸、玄関の花も秋模様

 〝彼岸花 咲ける間(あはひ)の道を行く 行き極まれば 母に会ふらし〟平成皇后の歌である。彼岸花が咲き始め明日はお彼岸の入り。
拙寺の庫裡玄関の広敷の周りは、壁には絵画や写真、正面4畳の空間には立体物を楽しめるミニギャラリーとなっている。法要の前には年に数回、生花店「はないちもんめ」を経営する中川範子さんに玄関の花を生けていただく。
備前焼の大壺に今回は高さ1.8メートル、幅2メートルのスケールで、紅葉が始まった夏はぜ・おみなえし・ほととぎすなどで秋の世界を見事に表現してくださった。法要の参詣者もご法話の休憩中に花を愛でるのを楽しみにされている。
21日・22日の4座、松月博宣先生をお招きして秋季彼岸会を勤修。懐かしい方々を偲びながら、阿弥陀さまのお慈悲の至極をお聴聞いたしましょう。

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2009/08/29 ギックリ腰&深川宣暢先生をお招きして寺子屋セミナーを開催

 ギックリ腰&深川宣暢先生をお招きして寺子屋セミナーを開催

 ギックリ腰になり一週間。起床から就寝まで常に身体を動かすのに工夫とエネルギー消費が必要だ。改めて無意識に身体が動かせることの有難さを感じ入る。合掌しての礼拝角度が10度ほど傾くようになった。日毎に少しずつではあるが回復を実感する。

寺子屋セミナー「正信偈を聞く」(第4回)を8月29日に開催。今回は龍谷大学教授の深川宣暢先生がご出講くださった。ご講師が正信偈120句をリレーで講話される。今回は「本願名号正定業〜必至滅度願成就」の4句。正信偈の要の部分を〝深く・易しく・有難く〟、全くの初心者からよくお聴聞されている方まで心配りをされながらのご講話であった。
回を重ねるごとに新たな申し込みもあり、着実に波紋が拡がっていることを実感している。門徒の垣根を取り払い聴講料無料の公開講座である。
第5回は10月26日(月)、行信教校講師・内藤昭文先生をお招きする。途中からの受講申し込みも歓迎。セミナーの輪がさらに拡がっていくことを希っている。

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2009/08/25 ギックリ腰&お寺に泊まろう!キッズサンガ夏休みのつどい

ギックリ腰&お寺に泊まろう!キッズサンガ夏休みのつどい

 22日土曜日の夜、プールで1500m泳いだあとストレッチング、爽快な気分でシャワーを浴びて水泳パンツを脱ごうとした瞬間!〝ゴキッ!?〟・・・、凄〜いギックリ腰をやってしまった。必死の思いで帰宅し一日半は横になったまま動けず、日曜日の法事2件は法務員が代理参勤、月曜日どうにか布団から這い出して法事に参勤する。

24日午後3時から翌日午前10時まで、仏教婦人会・仏教壮年会の役員・会員さんにお手伝いしていただき、〝お寺に泊まろう! キッズサンガ夏休みのつどい〟を予定通り開催。
開会式のあと、仏婦会員による〝レクリエーション〟〝美味しい夕食〟。仏壮会員による〝シャボン玉を飛ばそう〟〝長沢温泉の入浴〟〝花火で遊ぼう〟〝マジックショー〟と、盛りだくさんのプログラムで大人と子どもの楽しい交流のひとときであった。一日の終わりはキャンドルサービスで就寝礼拝。子どもたちは遊び疲れたのか、本堂に敷かれた布団に横になると静かに夢の世界へ。
翌朝はラジオ体操、おあさじ、朝食。お掃除のあと仏婦会員担当の〝クラフトの時間〟で4班に分かれてすばらしい作品を制作した。
私はギックリ腰をかばって横になりながら、自分の担当以外は坊守・仏壮・仏婦の皆さんに任せて、どうにか無事にを終えることができた。子どもたちを走り回って遊ぶことができなかったのが残念だった。
お手伝いくださった皆さん、有難うございました。

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2009/08/07 北畠晃融先生を迎えて盂蘭盆会法要を勤修

 北畠晃融先生を迎えて盂蘭盆会法要を勤修

 立秋を迎えたのに猛暑は一段と厳しくなる。長崎の南島原市では38.8℃を記録した由。山口でも連日34℃前後が打ち続く。
猛暑の中、中央仏教学院の北畠晃融前院長をお迎えして「盂蘭盆会法要」を勤修した。北畠先生には20年ほど前から夏休み中のこの法要にご縁をいただいているが、今春に院長を退任されたので、休暇中でなくてもご出講が可能になった。まだご縁がないお寺さまはご出講をお願いされたらいいですよ。
拙寺の本堂の中は、猛暑の中でも快適空間。街中に位置する拙寺では周囲の環境の変化と近年の異常な気温に対応するため、平成12年にビルトインの空調を完備した。天井の16カ所から静かに下りてくる涼風は心地よい。音楽ホールの設備と同じで音はまったくせず、ご法話に集中できるのがビルトインの良さである。初めてお参りする人は空調設備の存在に気付かず、「お寺の本堂はやはり涼しいですね」・・・と。
8日からはお盆参りが始まる。私は初盆中心の参勤。ご門徒4割程度(全門徒は不可能なので)の盆勤は法務員と助っ人一人を得て15日まで続く。この猛暑はしばらくは打ち続くというので体調を保てるのか不安であるが、代理は通用しない。気を引き締めで乗り切っていこう。

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2009/08/01 仏教壮年会会員の奉仕作業

仏教壮年会会員の奉仕作業

  夕方4時から毎年恒例の仏教壮年会会員のよる真鍮仏具のお磨きと境内清掃奉仕作業が始まる。今回は43名の会員が汗を流しながらご奉仕くださった。
磨き薬を使って仏具を磨き上げると新品同様に光り輝くのが醍醐味である。薬をつけて磨き始めると晒しが真っ黒くなってくる。さらに新聞紙で磨きあげ、最後はシンナーで薬をふき取り仕上げ磨きをする。彫刻物は歯ブラシで歯を磨くように薬で同様に磨く。さらに流し台で洗剤を使って薬を洗い流して水切りをしたら出来上がり。
「仏具に直に触れるのは緊張します。有難いことです」「自分たちが磨いた光り輝く仏具の荘厳で法要が勤まることは嬉しいことです」。会員の声である。
境内も隅々まで清掃してくださり、如来さまのお荘厳が立派に整った。
奉仕作業終了後、会員のお店〝しもかわ〟で懇親会。懇親会の参加者は25名。会員の老齢化?が進み、昔のような豪快な飲み方をする人が少なくなった。ちなみにピーク時は30名で、ビール80本、日本酒15升という記録を持っている。
来週7日(金)午前10時・午後1時30分から、布教使に中央仏教学院前院長の北畠晃融先生をお招きして「盂蘭盆会法要」とお勤めする。私が仏法を聞くご縁をひらいてくださった故人を偲びつつ、お参りください。

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2009/07/21 山口・防府地域に270ミリ超の記録的豪雨

山口・防府地域に270ミリ超の記録的豪雨

 山口・防府地域に270ミリを超える豪雨襲来。朝6時のお晨朝前から豪雨、本堂と庫裡での40分の勤行中も降り続く。その後も時々雨脚が弱くなりながらも強い雨が止まず。
全国放送で被害状況のニュースが放映されたようで、遠近各地より豪雨見舞いの電話やメールをいただいた。
左写真のとおり昼ごろには拙寺の境内が池のようになり、いろんなものが流れてくる。山口に来て27年余り、初めて見る光景であった。聞くところによると、昭和17年に椹野(ふしの)川の対岸・名田島地区側が決壊して、死者が出る大被害があったとのこと。今回も防府地域で数か所の土砂崩れがあり、多数の死者が出て、上空を救援の自衛隊のヘリコブタ―が往来していた。
右写真は今日の午後3時頃ごろの椹野川。河川敷には、25日に開催される〝ふしの夏まつり〟の看板が設置してあったがご覧のとおり。昼ごろのピーク時には危険水位を超える〝危機水位〟に達していた模様。
山口南組(15ヶ寺)では「仏教子ども研修会」が1泊2日で開催予定であったが、明日一日のみの開催に変更。その打ち合わせで会場引き受けの諧光寺さんに出向いたが、小郡の町を出るのに苦労するほどの道路冠水があり、一時は車のドアの半分ほどまで水が来て冷や汗タラタラ。
あと一時間降り続いたなら・・・、考えるだけで背筋が寒くなるような豪雨の一日であった。

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2009/07/02 仏婦研修旅行「かくれ念仏の里を訪ねて」
 

 早朝7時半、信光寺仏教婦人会創立50周年記念の研修旅行 〝かくれ念仏の里を訪ねて〟の一行31名を見送る。私は3年前に仏教壮年会の研修旅行で訪れたので、今回は坊守に引率を任せる。初めての引率で出発までは不安がっていたが、写真のとおり仏婦会員は気心知れた和気あいあいの方々であり、役員さんがしっかりサポート下さるので安心だ。  2日に都城の安楽寺さま、3日には本願寺鹿児島別院さまに参拝して、かくれ念仏の苦難の歴史をしっかり学んで、ご法義相続の糧にしてほしいと参加者に伝達した。
鹿児島藩(薩摩国・大隅国・日向国諸県郡)では、室町末期から明治9年に至るまで300年の間、一貫して浄土真宗を禁止した。その間、人びとは〝かくれ門徒〟として密かに講を結成し本願寺と密接な関係をもちながら、念仏を希求してやまなかった。隣接の人吉藩も同様だった。
この弾圧がピークに達したのは幕末期、天保6年(1835)からであった。巧みに隠していたご本尊の没収2000幅、捕らえられた門徒14万人と、天保14年に本願寺に宛てた書簡にある。このような弾圧拷問を受けても、密かに法座を開いて念仏の灯を絶やすことがなかった。
百聞は一見に如かず。浄土真宗の流れを汲む者は是非この地を訪れて、肌身で苦難の歴史を感じ取ってもらいたい。

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2009/06/21 沙羅(夏椿)の花が咲く
沙羅(夏椿)の花が咲く  

 中庭の沙羅が静かに美しく開花した。15年前に植えたものだが成長が遅く、ようやく2メートルに届こうかというところだ。花の姿が椿に似ていることから夏椿とも呼ばれ、今日咲いた花は明朝にははかなく地面に落ちている。
お釈迦ご入滅の時、沙羅双樹が枯れて鶴の羽根のように白くなったとの伝説から仏教では聖木とされているが、インドを訪れた時に見た沙羅双樹は、この夏椿とはまったく違うものであった。日本では温室でしか育たないそうである。
では、なぜ夏椿が沙羅双樹に間違われたのだろうか・・・。一説には、昔、ある僧侶が、仏教にゆかりのある沙羅双樹の樹は日本にもきっとあるはずだと山に入っていろいろ探したところ、夏椿の樹を見てこれが沙羅双樹だと思い込み、それを広めたためといわれる。
『平家物語』に、「祗園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」と詠われる沙羅双樹は、実は夏椿のことである。
あと何輪咲くだろうか? 毎朝、いろいろの想いを巡らしつつ、この純白の花と対面するひとときが楽しみである。

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2009/06/13 土曜学校の子どもたちとともに
 

 今朝は土曜学校の6月例会。子どもたちのお念仏・おつとめの声が高らかに本堂いっぱいに響き渡る。そしてレクリエーションの時間となると、その歓声が最高調に達する。今日は腹話術と皿回しで楽しく遊んだ。
この土曜学校は昭和58年4月に開校、早いもので26年余りになる。当初は日曜学校という名称であったが、土曜休日が施行されてから土曜日に開催するようになったので、このような名称に変更して現在は30余名の小学生、そして幼稚園児も通ってきている。
私がプトラハンドブックを教材にご法話したあとは、二人の仏教婦人会の会員・河村淑子さんと宇佐川栄子さんにバトンタッチ。長年にわたってレクリエーションを担当し、毎回ゲーム、紙芝居、クラフトなどバラエティに富んだ企画を用意して、子どもたちを楽しませて下さる。
修了生の中には、「コールさいは」の指導をしてくれるソプラノ歌手の荒川順美さん、サーラマンジェ・ドゥークールというフランス料理店のオーナーシェフの吉山宏美さんなど、すでに地元で活躍している人も多い。
阿弥陀さまのみ光のもとに、子どもたちが心豊かな人生を歩んでくれることを希って、多くの方々に支えられて継続できたことを有難く思う。

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2009/05/23 かわいい赤ちゃんの「初参式」
 

 境内では新樹が美しく輝き、山法師が静かに咲いている。
午前10時から「初参式」を開催し、16名の赤ちゃんとその家族、総勢50名ほどのご参詣がある。儀式・法話のあと全員そろって記念撮影、続いて私と一家族ごとの写真を撮る。最後に色紙に「手形」を押して、「初参式ケーキ」と「紅白のお餅」をお土産に散会する。
この色紙には、『大無量寿経』の「其手常出無尽之宝」という言葉を私があらかじめ清書しており、右手空白の部分に赤ちゃんの記念の手形を押すのであるが、これが大変。仏婦の役員さん方が総がかりで、赤ちゃんの手に朱肉をつけて手形を押す。中には大泣きの子、固く握りしめたまま指を解こうとしない子、なだめたり、すかしたりしながら16名の手形を無事押し終えられた。
子どもたちのいじめや凶悪な犯罪などに心を痛める時代であるが、解剖学者の養老孟司氏は「人間の遺伝子は20〜30年で変わることはあり得ない。いつの時代でも赤ちゃんは純白で生まれてきているのであり、そのいのちがどのような価値観に触れて育ってきたかによって変わる」と述べている。私たち大人がどのような価値観を持って生きていくのか、さらにその価値観に基づき子どもを取り巻く環境をどのように整備するか・・・、私たちの責任は大きい。思慮していかねばならない。
〝マンマンちゃん アンするんですよ〟
わかいおかあさんが おしえている
ああ あわせた コドモの 小さなお手よ―― (木村無相)

 

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2009/05/07 寺報〝濟波〟126号の編集を終えて
   午前中、仏婦会員のNさん・Mさんとともに、寺報〝濟波〟第126号の編集作業を終え、午後に印刷所に入稿した。
この寺報は、私が入寺した翌年・昭和58年1月に創刊。法要のご案内を兼ねて、現在は年間5回発行している。
ご門徒の皆さんに、もっとお寺に目を向けてほしい、お寺の活動をアピールしたいとの思いで始めたのだが、スケジュールが過密な状態の時、何度かやめようかと思ったほど編集作業がつらいこともあった。
平成9年より仏婦のお二人が編集を手伝ってくださり、そのお蔭で現在まで継続することができた。また、センスあふれる女性の感覚により、マンネリ化しつつあった編集作業も楽しくなった。お二人ともお忙しい時間を割いてくださり、まことに有難く思う。
26年余り継続してきた寺報〝濟波〟は、情報伝達の大きな力となって波紋が拡がり、信光寺のご法座の活性化の一助となり、参詣者の賑わいも増してきた。
ご門徒以外の有縁の方へも、ご希望あらば無償でお送りしている。ご希望のかたは、メールくだされば喜んでお届けします。

 

 

2009/04/24 第2回寺子屋セミナーを開催して
 

 4月24日の拙寺の寺子屋セミナー、福岡の松月博宣先生をお迎えして第2回を開催した。
信光寺門徒・他寺門徒の垣根をとりはらい、聴講料は無料というセミナーを開講して10年になるが、今回は去る2月から新たに「正信偈を聞く」というテーマで、第一線で活躍中のご講師にリレーでお取次ぎいただいている。
浄土真宗の裾野は素晴らしく広いのにかかわらず、著しい人口移動や社会構造の変化に対応できず、昔の法耕の貯金を使い尽くそうとしている現在の寺院の在り方に危機感を感じ、このセミナーの開催を思い立ったものである。
かしこまったイメージの伝統法要に新たにお参りする方が少なくなったからこそ、まずは気楽に足を運べるものが必要ではないか・・・。
受講者の中には、初めてお寺にお参りされた方もいらっしゃるし、永年熱心にお聴聞されている方もあるので、松月先生には講話の内容にご無理なお願いをしたのであるが、さすがに択びぬき研ぎ澄ました言葉をもって、緩急・抑揚・潤滑自在で、かつ温もりあふるる講話をしてくださった。
第3回は6月18日、神戸の谷川弘顕先生をお招きする。現在100余名の受講者であるが、途中からの受講申し込みも歓迎。セミナーの輪が拡がっていくことを希っている。

 

 

2009/04/13 高橋まゆみ創作人形展を観る ≪追伸≫

   久しぶりの萩で「がんこ庵」に行った。この店はすべて〝十割そば〟のみのこだわりの店で、まずお茶の代わりにそば湯が出され、〝毛利そば〟を注文すると古い萩焼の三つの器にそばが盛られ、味は絶品だ。
ただし、こだわりの店だからマナーには注意。「小郡の信光寺・河野のホームページを見て来ました」と告げると、こだわりの女将が笑顔で迎えてくれるだろう。
この店の味は長男さんにまかせ、今年4月からご主人は「がんこ庵 椿店」をオープン。〝二八そば〟にこだわり、〝熱(あつ)毛利そば〟一種類のみのメニューというご主人道楽のお店だそうだ。
「がんこ庵 椿店」に行かれる時は必ず電話(0838-26-2647)してからいらしてください。

 

 

2009/04/13 高橋まゆみ創作人形展を観る
 

 高橋まゆみさんの創作人形展を観に、坊守と共に久しぶりに萩市へ出かけた。広島、小野田での開催に続き、3回目の人形さんたちとの対面となる。
高橋さんとは直接お会いするチャンスはまだないのだが、不思議なご縁で知り合って時折芳信をいただく。
高橋さんの創り出す人形には生きる逞しさ、温もり、優しさを感じる。人形と向かい合うと何かを語りかけてくる。耳をよく澄ましてみると、「何を急いでいるの。もっとゆっくりと落ち着いて人生を歩んだら。急ぐと大切なものを見落としてしまうよ」という声が聞こえてくるようだ。
人形の目線までしゃがんで向かい合っていると、心が癒されるだけでなく、阿弥陀さまの懐に抱かれているような「救い」にまで深さを感じる。昨今、「癒し」は盛んにアピールされ興味の対象として取り上げられるが、「救い」を感じるものは少ない。  高橋さん自身が、最初は人形に可愛さ微笑ましさを求めていたが、次第に精神的により深いものを求めるようになったとおっしゃる。
写真は認知症の妻(履物が左右違うのにお気づきか?)と、その妻を支える夫の人形だ。夫妻には生き地獄のような葛藤があったに違いないが、それを超越し、まさに阿弥陀さまのお慈悲に照らされ、そのまま丸ごと抱きとられた姿がここにある。
高橋さんの人形には「救い」を感じる。奥信濃・飯山の土徳と、本願寺の門徒推進員として活躍されるお舅さんが身近にいらっしゃるせいだろうか。

★「高橋まゆみ創作人形の世界〜故郷からのおくりもの〜」
萩市民会館で4月26日まで開催中
高橋まゆみ人形館

 

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2009/04/05 花びらは散っても
 

 桜花爛漫、境内の枝垂れ桜が今年は早 満開を迎えた。
かつて山口県立美術館で「モディリアーニとその妻ジャンヌの物語展」が開催されたとき、大阪大学総長の鷲田清一氏の講演があった。鷲田氏は、モディリアーニが描く細長い顔・首・身体・・・、「彼は顔を消すことにより、顔を描いたのだ」と表現された。・・・?、ここに表現された「顔」は日本語ではどちらも顔であるが、フランス語では使い分ける由。消した顔は「ファス(顔面)」、描いた顔は「ヴィザージュ(面影・面差し)」。すなわち「顔面を消すことにより、面差しを描いたのだ」と。
亡き親の「顔」を想い浮かべるとき、その顔は顔面とは限らず、髪、背中、指・・・。それはヴィザージュであり、ふーっと消えてしまうもの。その顔をこそ彼は描きたかったのではないか、との論評だった。
拝聴しながら金子大栄先生の「花びらは散っても花は散らない」という言葉を思い起こした。私の眼前の花びらは散り去っても、花びらが醸し出していた花の心はいつまでも私の心に残る。それは花を咲かせる大いなるいのちとの出遇いといえよう。
満開の桜を愛でながら、阿弥陀さまのお姿をとおしてそのお心に触れ、お慈悲充満、温もりの真っただ中にいる私であることに気づかせていただく。

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2009/03/25 ホームページ開設

春の彼岸法要がを無事勤め終えて一段落する間もなく、最終チェックをすませて信光寺ホームページをやっと開設。
このホームページにより更に多くの方々が、阿弥陀さまとのご縁、信光寺とご縁を深めてくださればと希っている。
ぼちぼち内容を充実していこう。

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